品質管理
Quality
ミヤジマ品質-ISO9001の考え方-
ミヤジマでは、1998年に近畿の100名以下鍛造中小企業として初めてISOを取得しました。(当時ISO9002、現在のISO9001-2015)それ以来、社内生産管理システムの構築とIT化へいち早く取り組み、製品の品質を守ることはもちろん、管理(トレサビリティ)面も強化してまいりました。お客様第一主義の考え方に基づき、幾多の改善を重ね、社員の誰もが使える品質管理の仕組み(標準化)を構築してまいりました。
ミヤジマ流ISO9001の考え方
- ルールを守って文書化し
- それを守って実行し
- 守ったことを記録すること
- 改善、見直し
管理体制とトレーサビリティ
なるほど!ISO9001の仕組みをミヤジマ流にアレンジして、さらにIT、生産管理システムと融合することで独自の品質管理の仕組みをつくりあげているんだな。そしてミヤジマのだれもがその仕組みを理解して、標準化しているからこそ、安心安全で高品質な製品ができるということか。
By
ベンボーくん
品質管理も万全の体制で挑んでいます。
以下の文章は当社が2000年1月のISO9002(1994年版)認証取得にあたって、当社なりにISOについての考え方をまとめたものです。
2003年1月にISO9001(2000年版)へ移行完了し、現在は2000年版を運用していますが、「物づくり」に関する基本的な考え方は、1994年版の方がわかりやすい面もありますので、引き続き掲載させて頂きます。
少々長い文章ですが、社員全員が解るようにと出来る限りわかりやすくしたつもりです。 ご参考にしていただければ幸いです。
ミヤジマは、ISO9001・エコアクション21認証取得企業です。
ISO9000に関する私なりの理解のしかた
全体としてのイメージ
例えばあなたが人生に1度の大切なマイホームを建てるとしましょう。
そのとき、どんな工務店に頼みたいと思うでしょうか。
ISO9000はまさにこの時にあなたが望むことをお客の立場から見て、たった20ケの項目に絞り込んだ「品質のしくみ」についての規格なのです。
しくみ(システム)についての規格ですから、「いくら以上又は以下でなくてはならない」というJIS規格のような「数値についての規定」は全くありません。
20ケの項目というのは「こういうことについてのしくみ(システム)を用意して下さいよ」ということなのです。
イメージとしてはこうです。
例えば、1つの箱が20ケのマス目に仕切られているとしましょう。ISOでは、この20ケそれぞれのマス目にちゃんと入るようなものを、とにかく1つずつ入れておいて下さいよ、というようなものだと考えてはどうでしょうか。
ところが殆どの会社では、20ケのマス目にあれもこれもと目一杯詰め込んでしまい、「てんこ盛り」にしてしまっているような気がしないでもありません。
そうなると自分で自分の首を絞めることになり、手間がかかりすぎ、結局はお客様に迷惑をかけてしまうでしょう。
これでは「お客様の立場からの要望」であったはずのISOなのに「何のためのISOだ?」ということになってしまいますよね。
ですから当社ではまず最初に次の3つのスローガンを立てました。
(1)「品質を守るために必要最小限の
1)ルールを決めて文書化し、
2)それを守って実行し、
3)守ったことを記録する」
という3ステップのしくみをつくる。
(2)ISOをやることで、決して「スピード」をなくさないこと
(3)初めから100点を目指すのでなく、まずは60点を目指そう
ある人から聴きました。「アメリカへ行ったら中小企業でもかなりの会社がISOを取ってたけど、マニュアル類を見せてもらったらA4の紙ファイルに十分収まる位のペラペラのもんやったで。あんなんでええんやなあ。」と。
ですからというわけではありませんが、当社ではまさにこれを目指し、全ての品質マニュアル・規定・標準書を合わせてちょうどA4の紙ファイル1冊に収まるようなものにまとめました。(品番毎の標準書類は別として)
しかし実際これだけでも本当にキッチリ守ろうと思ったら大変ですよ。
以上がISO9000シリーズに対する、全体的な私のイメージです。
では以下に20ケの要求項目がどんなものかを説明させて頂きます。この20ケの項目は、やればやるほど「なるほどよく考えてあるなあ」と思える内容ですよ!
それでは。
20ケの要求項目についての解説
4.1 経営者の責任
いきなりこれが最初に、つまり「トップの責任」が「要求事項のトップ」に来ているということがISOの最もよいところといえるでしょう。
この中ではまず
(1)品質方針を定めて全社に周知徹底せよ。
(2)それを実行していく全体の責任者および組織を定めて責任と権限を明らかにし、
(3)必要な経営資源すなわち「人・物・カネ」を社長は用意しろ。
(4)そして最後に、作ったしくみ(品質システム)を経営者自らが年に1回は見直せ。
という4つが定められています。これなら社員もやりやすいですよね。
これがISOの基本となっています。
4.2 品質システム
さてこれからいろいろな「しくみ」を作っていくわけですが、やたらめったに作ったのでは後で何が何やら解らなくなりますよね。
ですからまずは全体の骨組みというか、全体の構成と手順・計画を定めなさいと、ここでは言っています。具体的には、「品質マニュアル」という「憲法」を頂点とし、以下規定・標準類そして記録までのピラミッドの「しくみ」を自分のところなりに決めて下さいということです。
4.3 契約内容の確認
仕事は何から始めるかといえば、まずはお客様から注文をもらうことですよね。
そこでここでは「注文をもらう時にどんな風に確認するのか」を定めなさいと言っています。
例えばラーメン屋で自分はしょうゆラーメンが「普通」だと思って「ラーメン!」と注文しても「その店の普通」がみそラーメンだったら「あれっ!注文とちがうぞ!」となりますよね。
だから「注文を受ける時に『味は塩・みそ・しょうゆの何になさいますか?』と訊くようにしましょう」というのがここで決めることなのです。
4.4 設計管理
いよいよ注文をもらって製作にかかるわけです。ラーメン屋で注文を受けるたびにいちいち設計をしていたのではお客様が怒ってしまいますが、一般的には注文をもらってからその仕様に合うような設計をします。これがちゃんとできなければとんでもない品物が出来上がってしまい、最悪の場合事故なんかにつながれば大変です。ですからここではその設計の手順や図面の管理をどういう風にするのかを定めなさいと言っています。
4.5 文書及びデータの管理
注文をもらって設計に入ると既にいろいろなルール(規定)が必要になっているわけですが、これから仕事を進めていくと更に沢山のルールが必要になり、更には一度作ったものをいろいろと変更或は廃止しなくてはならないケースが出てきてます。
そこでここではルール(規定)の作り方、変え方、廃止のしかたについてのルールを定めるように要求されています。
4.6 購買
さて次にすることは「仕入れ」ですよね。ここではこんなことが求められています。
(1)安ければよいというような仕入れは困ります。ちゃんとした仕入先かどうかを確かめてから買って下さい。
(2)そこに注文するときのルールを決めなさい。
(3)買った物をチェックするしくみを決めなさい。
どれも大切なことですよね。
4.7 顧客支給品の管理
材料は買うものばかりではなく、お客さんからこれを使いなさいと支給される場合もあります。ここではこの顧客支給品についてどんな管理をするのか決めるように求められています。
4.8 製品の識別及びトレーサビリティ
上記のようにお客様の注文を受けて材料を仕入れたり支給されたりしていよいよこれから製作にかかっていくわけですが、これらがどこかで他の物に混じってしまったり、取り違えられてしまっては大変です。
又、出来てきた物がどんな材料からどんな流れ(工程)を経て製品になってきたのかがはっきりしないと後で大変困ることがありますが、これでは信用できません。
ですからここではそのためにどんな見分け方(識別)をし、逆にルーツを辿るときにはどういう風にするのかを定めなさいと言っています。
4.9 工程管理
ところで物を作るためにはいろいろな物(道具)が必要です。
例えばマニュアル・設備・環境・規格などです。
ISOではこれら全てをひっくるめて「工程」と呼んでいます。
そしてこれらがいつも「グッド コンディション」にあるようにするには、どういう風に管理するのかを定めなさいと言っているのです。
4.10 検査・試験
さて物をつくることにおいては、とにかく作ればいいというものではありません。
そこでここでは材料の受入れから実際の製作中、そしてお客への引渡しに至るまでの、各段階での検査をどのようにし、その記録をどう残すのかを決めるように言っています。
4.11 検査・測定及び試験装置の管理
またここでISOは面倒臭いことを求めています。4.10で検査するのはいいのですが、それに使う道具類が本当に正しいものなのかをどう確かめ、狂わないようにどう管理するのかを定めなさいと言っているのです。
しかしよく考えてみれば苦労して検査してもその道具が狂っていれば苦労は水の泡。
さらには製品はペケでお客様に迷惑をかけるなんてのは最悪です。
だからこれはやはりどうしても欠かせないことの1つですよね。
4.12 検査・試験の状態
ここでは簡単にいうと、品物が「(1)検査待ちか検査済か」そして検査済なら
「(2)合格品か不合格品か」この2つの項目を、どう見分ける(識別する)のかを決めなさい
と言っています。
4.13 不適合品の管理
ところで、物づくりにおいてはオシャカ(ペケ)はつきものです。
ところがISOではこれがダメだとは言っていません。
つまり不良率が仮に80%の会社でもISOはOKと言うわけです。何故なら、大切なのは、どんな不良品が発生したのかを知り、発生してしまった不良品が絶対に良品に混じらないようにすることであり、そのために何をどう管理するのか定めなさいと言っているのです。
なるほど、その通り。
4.14 是正処置及び予防処置
ところがいくらそうは言っても不良品だらけの会社では物が計画どおりに出来ず、最悪には会社が潰れてしまいます。これでは結局お客様に迷惑がかかってしまいます。
だからISOでは次の2つをどうするのか決めなさいと言っています。
(1)是正処置……起こってしまったことは仕方ない。しかしそれが2度と起こらないようにするための再発防止をどうするのか。その手順。
(2)予防処置……世の中にはたまたま不良にならないで済んでいる物も実は沢山あるはずです。それをいかに早めに見つけ、手を打っていくか。
その手順。つまり後手にまわるのではなく先手必勝!これがどんどんできる会社になりたいものです。
4.15 取扱い・保管・包装・保存及び引渡し
ここはその題目の通り、それぞれをどういう様にするのかを決めなさいと言っています。
4.16 品質記録の管理
以上でやっと受注から引渡しまでの一通りが終ったわけですが、これまでにはいろいろな記録が残されてきたはずです。この「記録」こそが品質を保証する「宝物」なのです。
よってここではこの記録(宝物)をどのように管理するのかを定めなさいと言っています。
4.17 内部品質監査
これぞISOの最も面倒な、しかし且つ大切な所と言えるでしょう。
人間というものはついつい楽な方へ流れてしまう生き物です。(性悪説)。
ですからISOでは年に2回わざわざお金を払って審査機関にチェックしてもらうわけですが、全て他人任せにするのではなく、せめて1度は自分たち自身でチェックして下さいよ、というのが内部品質監査で、このルールを決めなさいと言っています。
4.18 教育・訓練
またもやISOの素晴らしい点が出てきました。
これは経営者にとってはとても「金のかかること」なのですが「企業は人なり」とも申します。だから教育訓練は企業の将来の為には欠かせないものなのですが、実際は仕事が優先になってしまってなかなか出来ないものです。
そこでISOではこの教育訓練を「計画的に」行ないなさい、そのための手順を定めなさい
と言っています。それ位大切なことだと言っているのです。
社員の成長→会社の成長→お客様への貢献です。
4.19 付帯サービス
製品の中には、付帯サービスがあって初めて本体が生かされるという物もあるはずです。
(パソコンのユーザサポートなど)
その場合は「付帯」とはいえ、大切な項目と言えます。そのためにこの付帯サービスをどうするのかを定めるように言っています。
4.20 統計的手法
いよいよラストです。その最後に一番とっつきにくいようなのが出て来ましたが、実はこの統計的手法、私たちが気付かぬ内に自然にやっていることなのです。
例えば「この仕事はあいつならうまくやれるがあいつなら失敗しよるぞ。」というのも立派な(過去のデータの)統計の上での判断なのです。ただ、そのための色々な手法を知り、それらを効果的に活用することでよりよい製品づくりを目指して下さいということでこの項目が要求されているのだと思います。
以上20ケの要求項目について私なりの理解のしかたを一方的に述べさせて頂きましたが、少なくともこれを読んで頂いた限りでは「なるほどよくできたしくみだなあ」と思って頂けるのではないでしょうか。
今後当社は更に「ISOを取得して本当によかった」と思える様努力していきたく思っております。 皆様のますますのご指導・ご助言をお願い申し上げます。
長文ご覧下さり、ありがとうございました。
(株)ミヤジマ 宮嶋 誠一郎