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Miyajima News
2010年10月31日
超訳 般若心経
【H22年(2010年)10月のコラム(第112号)】
日本の仏教発祥地ともいえる比叡山延暦寺の国宝、根本中堂にて
1.超訳 般若心経
仏教には宗派によってたくさんのお経があるが、その中でももっともポピュラーなのが
般若心経だろう。僕も毎日ではないが、父と母が住む隣の母屋に仏壇があるので、
その前に座るときは時々このお経をあげている。しかし、はたしてその意味は?というと
案外多くの方が知らないのではないだろうか。
と思い、10月もぎりぎりラストになってしまったが、私なりに超かんたんに般若心経の
意味をまとめてみたのでご紹介します。
このたった266文字の中に、どんな意味が込められているのか?
『般若心経(※1) 超訳 by 宮嶋誠一郎』
ものごとを自由自在に見通せる菩薩様は、昔お釈迦様の教えを深く学ばれた時、
この世のすべてのものが「空(くう)」であることを悟られ、あらゆる苦悩を克服されました。
舎利子よ。(※2)
この世のものはすべて空なのじゃ。
色(物の存在)も、感じたり想ったり知ったりする心のはたらきも、すべてが空なのである。
舎利子よ。
だから生まれたり死んだりすることも空。ものごとにに汚いもきれいもないし、増えたり
減ったりすることもない。すなわち「空」の中に「色」はないのである。
(小乗仏教がとなえたややこしい)受・想・行・識という心のはたらきもないし、眼・耳・鼻・
舌・身・意という感覚器官もない。それらで感じとる色(もの)や声・香・味・触・法という
対象物もない。「眼界」から「意識界」まで(※3)のこの世の構造のすべてがないのだ。
「無明」という迷いや妄想、またそれらが尽きることもないもない。
(そもそも何もないのだから)
さらには老死もなければ、老死の尽きることもない。
苦しみが集まったりなくなること(※4)もないし、智慧(悟り)というものもなければ、
それを得るということもない。
菩薩様は依般若波羅蜜多(※5)すなわち悟りをひらかれているので、その心には
罣(網の目)や礙(さまたげ)がない。だから恐怖におびえることもなく、ものごとを逆さに
捉えることもなく、妄想に悩まされることもなく、心はきわめて涅槃(平安)なのです。
(前世・現世・来世にわたる)三世の諸仏は、悟りを得ることによってこの上ない正しい
完全な悟りを開かれました。
それ故、般若波羅蜜多(仏の智慧の完成)は、すばらしい神の言葉であり、すぐれた真言
であり、無上の真言であり、無比の真言であるといえます。それはあらゆる苦しみを
取り除いてくれます。これこそが真実であり、虚(うつろ)ではありません。
ゆえに般若波羅蜜多(仏の智慧の完成)の真言を説きます。即ちこれが真言です。
「わかった、わかった、ほとけのこころ。すっかりわかった、ほとけのこころ。
ほとけさま。ありがとうございます。」 (おしまい)
※1:般若心経は「大乗仏教」の経典。これを理解しておかないと般若心経はわかりません。
というのは、お釈迦様が亡くなってその弟子たちが説いた教えは「小乗仏教」といって、
出家をして厳しい修業を行った者だけが救われるという、まさに「小人数の人しか
乗れない」仏教でした。しかしそれから500年ほどたって、ちょっとそれはおかしい
のではないか、あまり厳しいことを求めず、もっと多くの人が救われる、すなわち
「大人数の人が乗れる」仏教こそがお釈迦様の本当の教えではないかという考えが
興り、それが「大乗仏教」として現在の仏教の主流となっているそうです。
※2:舎利子は釈迦の弟子の中で第一とされた優秀な弟子ですが、上記の小乗仏教の
メンバーの代表として、般若心経の中では「槍玉」にあげられているのです。
※3:小乗仏教ではこの世の現象世界を「眼界」から「意識界」までの十八界に分析して
厳格、困難な教えを説いていた。
※4:苦諦・集諦・滅諦・道諦の4つを「四諦(したい)」といい、小乗仏教で教える4つの真理。
難解なので、般若心経では「そんなややこしいものはないのだ」と言っています。
※5:波羅蜜多(はらみた)とはサンスクリット語で「パーラム(彼岸)+イター(渡る)」、すなわち
彼岸(仏様の世界)に至るということで、「仏の智慧を完成させる」「悟りを得る」という意味。
ちなみに彼岸(ひがん)に対してこちら側を此岸(しがん)といい、これをサンスクリット語で
「サハー」といいます。それが漢字になったものが現実世界を表す「娑婆(しゃば)」です。
さらに知りたい方は下記などのサイトをご覧ください。
https://enlighten.fc2web.com/hannyashingyo.html
https://www.e-sogi.com/arekore/kyo1.html
近江牛の千成亭「伽羅」にある 薬師寺124代管主 高田好胤さんの扁額
般若心経の意味は、この説明だけで十分かも・・・。
相手を言い負かしてもなんにもならん。
残るのは憎しみだけだ。 / 坂本龍馬
ジョージ秋山さんの「浮浪(はぐれ)雲」 こんな風に生きれたらいいですなあ・・・。
【 参考文献 「こだわりを捨てる 般若心経」 ひろさちや著 中公文庫 】