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Miyajima News
2010年4月28日
「 品格 」について
【H22年(2010年)4月のコラム(第105号)】
1.『 品格 』について
最近のコンビニには、雑誌だけでなく、本も結構置いてある。
しかもそれは、ごく限られたスペースに置くだけあってなかなかよい本であったりする。
それでつい先日買ってしまったのが「遊びの品格」という本である。
「品格」というと、2005年11月に出版された藤原正彦氏の
「国家の品格」が今の“品格ブーム”の始まりだと思うけれども、
そもそも“品格”とは何か?“品性”や“品位”とはどう違うのか?
例によって広辞苑で見てみると
品性・・・ひとがら。人品。人格。
品位・・・品格と等位。人に自然にそなわっている人格的価値。ひん。
品格・・・物のよしあしの程度。しながら。品位。気品。
とある。だいたいは似通っているが、やはり「品格」というのが一番堅苦しい
というか、気合いがこもっている(?)ような感じがする。
そういう意味では、「女性の品格」という本が出されたが、そのタイトルを
見た時、なんとなく違和感を感じた覚えがある。女性の場合はやはり「品位」
っていう方がいいような気が僕はするのだけれども・・・。
それにしても「元祖品格本」である藤原先生の「国家の品格」はよかった。
特に覚えているのは「惻隠(そくいん)の情」という言葉である。
わかりやすく言うと「おもいやりの心」ということだろうか。
司馬遼太郎氏は亡くなる前の何かのコラムに、これからの日本人に最も
大切なものは、“恕(じょ)”の精神であると書いておられた。
うっかり“怒(ど)”と間違えそうな文字であるが、“又”と“口”と違う
だけで意味が全然ちがう。“恕”というのはまさに“おもいやり”という
意味である。
と前置きが長くなったが、「遊びの品格」とははてさてどんなことが書いて
あるのか?・・・とわくわくしながら読み進めた。なるほどさすがコンビニの
特等席に置いてある本だけあっていいことが書いてある。
たとえば目次をいくつか挙げると
・ムダがなければ、人も組織も伸びない
・少しだけバカになれたら、人生はもっと楽しい
比叡山天台座主 山田恵諦氏「大愚のすすめ」
・金持ちではなく、「人持ち」になる/趣味の効用
柳生家の家訓「三つの才」 縁の生かし方
・男の品性は、食の作法に表れる
・「大人の酒の愉しみ方」を知っているか
・「男の下心」と「女の勘違い」
などなど。目次だけでも面白そうでしょう?
しかしながら一ヶ所だけ「それはないんじゃない?」という箇所があった。
それはひとことで言うなら「女性との別れ方」についての部分である。
なんて書いてあったかというと、
相手がなかなか別れてくれそうにない場合は
・何度も数万円程度の小金を借りて返さない
・アブノーマルなセックスを強要する
・相手の親や職場にわざと自分の悪い噂を流す
などである。・・・・・これはちょっと「卑怯」じゃないか!?
この1頁だけでこの本は「品格」を下げてしまったように思う。
このことを考えると、「品格」とは
「卑怯でないこと」「正々堂々としていること」
だともいえるのではないかと思った。
以上ただいま「品格」修業中!小生の書評でした。
「人間は少しくらい品行は悪くてもよいが、
品性は良くなければいけないよ。」
小津安二郎監督