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Miyajima News
2021年9月6日
1.Don’t conduct so much.
【令和3年(2021年)9月のコラム(第249号)】
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先月のコラムの最後に紹介した小澤征爾さんの帝王カラヤンへのインタヴューで、カラヤンが「指揮で大事なのは、指揮しすぎないことだ」と答えたのがとても心に響いた。
私は今までこれとは全く逆のやり方をしてきたからである。
26歳で家業に就いて以来、この会社をなんとか少しでもよい会社にしようと、「誰にも負けない努力」をするつもりで寝ても覚めても考え続けてきた。
そして考えたことを、ことうるさく社員に指示してきた。
社員には相当迷惑だっただろうな・・・と思う。
しかし考えてみれば、そういうやり方には限界がある。
どんなに細かく指示しようとしても、人の箸の上げ下げまでは指示できないのだ。
つまりある部分からはあきらめるしかない。
でもそれはマイナスの考えではない。
あきらめるというのはGive Up(断念する)という意味ではなくRealize(悟る)、つまり社員を信じ、尊敬するのである。
私も39歳で社長になり、ある人のひと言でこのことに少し気づいてから、会社は少しは伸びたように思う。
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ソヴィエトに「最恐指揮者」として怖れられたムラヴィンスキーという指揮者がおられて、この方は実に細部まで一音一音きびしく指導されたそうだ。
でもこの方といえどもコンサートが始まってしまえばあとは楽団員を信じるしかないのだ。
「三流の楽団は指揮者がいなくても演奏できる。
二流の楽団は指揮者がいなくてもなんとか演奏できる。
だが、一流の楽団は指揮者がいなければ演奏できない。」
という名言があるが、やはり一流の組織をつくるには、すぐれた指揮者が不可欠である。
しかし、その指揮のしかたは千差万別であり、本当にむずかしい。
最近、「ティール組織」という言葉を知った。
「ティール」というのはteal=小鴨という意味ではなく、teal色すなわち薄い青緑色のことだそうで、ティール組織というのは「組織の個人が自由に意思決定できるフラットな組織」のことをいうのだそうです。
これからの社会ではこういう組織でないと生き延びて成長していけないとフレデリック・ラルーというベルギー出身の学者さんが提言された内容ですが、たしかに人は人に命令されてするより、自分の意志でする方がずっとよい仕事ができる。
だからこれからはこういう個人の自由度を重視して組織を運営していくべきなのかな・・・と思う。
カラヤンやムラヴィンスキーはティール組織論に対してどう言うだろうか?
とにかく人をまとめるということほどむずかしいものはない。
ぜんぜん結論になっていないが、今読んでいる本に徳川家康のこんな言葉があった。
「すべて大将たらん者は、物ごとについて鷹揚を旨とし、胸中に余裕があって、それほど大節を破らなければ、そのほかの些細なことは、捨てておくがよい。」
これこそがカラヤンの「Don’t conduct so much.」ということなのだろう。
社長交代をあと一か月後に控えた、私の大きな反省です。
丹波あじさい寺 小籔実英先生の「明日を生きる為の日めくり」カレンダーより31日の言葉