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Miyajima News

2019年1月3日

森を見てから木を見よ

【H31年(2019年)1月のコラム(第217号)】 


痛恨の思い出の滋賀大学 (滋賀大学の公式HPより)

1.森を見てから木を見よ

「木を見て森を見ず」という格言がありますが、1月には
この言葉を聞くたびに思い出す、とても苦い経験があります。
それは今から38年も前、高校三年生の冬のことです。

現在「センター試験」という名前で行われている大学入試は、
当時は「共通一次試験」という名前で、私はその制度が始まって
三年目の年でした。今は知りませんが、その時は国語、英語、数学の
3科目の他に、理科で2科目、社会で2科目の合計7科目も受験しなくては
なりませんでした。国・英・数が各200点満点、理科と社会の各科目が
100点満点で,、合計1000点満点という結構ハードな試験です。

その中で私が痛恨の大失敗を犯してしまったのが「物理」です。
実は私は理科系のクラスであったにもかかわらず、数学や物理といった
理系科目が大の苦手でした。しかし、共通一次試験では各大学の
二次試験よりは基礎的な問題が出るので、公式や原理を理解し、
過去問や予想問題集をやっておけば、そこそこの点数は取れたのです
(もちろん必死に勉強しての話ですが・・・)。
実際、物理は予想問題集でほぼ確実に85点以上取れており、
「よし、物理は楽勝!」くらいの気持ちでいたのでした。

そしていよいよ迎えた共通一次試験の初日。
試験会場は高校のすぐ近くにある滋賀大学経済学部の校舎でした。
そして自信たっぷりで解き始めた物理の第一問。
「だいたい1問目は簡単なんだよなー。ふむふむ、なになに?・・・あれ?
ちょっとまてよ?なんじゃこの問題は???意味がわからん・・・。
いや、そんなはずはない。もう一回はじめから読むか・・・。え?なんで?
こんな問題みたことないぞ???わからんやん!!」と悩み出したが最後、
その初めの一問にすっかりハマってしまい、「もしかしてヤバイ???」
と気づいて時計を見た時には遅すぎた・・・残り15分になっていたのです。
「まだ1問も解けてないのに、あと15分でどうするんやー!!!」と、
もう大パニックです。・・・これぞ後の祭り。頭の中が真っ白になりましたが、
気がつけば窓の外にも真っ白な雪が積もっていました。

予想もしなかった物理の撃沈に途方に暮れ、雪の中を自転車を押して帰り、
「どうやった?」というオカンの声に答える気にもなれずお風呂に入った
のですが、不思議とどれだけ追い焚きしても身体が温まらないのです。
あの時の寒さというか冷たさというか、奇妙な感覚は今でも忘れられません。

しかし私には、どうしても浪人したくない理由がありました。だから二日目の
試験をあきらめるわけにはいきません。気を取り直して必死に受けました。
自己採点の結果、やはり物理は30数点しかなかった。いや、それだけ取れた
だけマシだったのかもしれません。しかし物理でやらかしてしまった「50点」もの
失点は、実に実に、じつーーーーーに痛かった。

結果的に当初の第一志望校はあきらめることになったのですが、
今から思えばそれでよかった、結果オーライで今があるのだと思っています。

長々と自分のつまらぬ失敗談を書きましたが、もしあの時、自分が最初に
問題全体にさっと目を通していたなら、どうなっていただろう?
一問目につまづいたとしても、それを後回しにして他のできそうな問題から先に
できていたのではないか?・・・そう思うと、まさにあの時の自分は
「木を見て森を見ず」そのものだったと、反省しきりです。

今の仕事でも、気になることすべてにいちいち止まっていたのでは、
全体を見失ってしまうことが多々あります。
一つ一つも大事ですが、まずは全体を見渡してから細部に入っていく、
すなわち「森を見てから木を見る」ようにしていかねばならない。

年の初めに昔の痛い経験を思い出し、少しでも同じ失敗を繰り返さないよう、
心がけていきたいと思います。


毎年、事務所玄関に飾っている多賀大社の「笑門」絵馬
今年も笑顔いっぱいの一年でありますように


新しい機械加工工場の前の十一面観音様 2019.1.1

長文お読みいただき、ありがとうございました。
本年もどうかよろしくお願いいたします。

└誠一郎のコラム