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Miyajima News

2017年10月8日

War and Peace

【H29年(2017年)10月のコラム(第202号)】 


Ryuichi Sakamoto ‘Merry Christmas Mr. Lawrence‘ from YouTube

1.War and Peace

以前にも書きましたが、僕は坂本龍一が好きで、時間があるときには
時々YouTubeで坂本さんの音楽を聴いています。
その中から先日、一本の動画を見つけました。

それは今から13年前、今は亡き筑紫哲也さんのニューズ番組「NEWS23」で、
番組の15周年の特別企画で坂本龍一さんの「War and Peace(戦争と平和)」
という曲に、日本語のメッセージをのせて制作されたものでした。

もともとこの曲は2004年2月にリリースされた「CHASM(キャズム)」という
アルバムに英文の詩で発表された曲ですが、その数か月後に番組で
「平和への祈りを込めた詩を書いてみませんか」と募集したところ、
5歳から60歳代までの方々から2305編もの詩が集まったそうです。

その中から14歳から65歳までの19人の詩を坂本龍一さん自らが選んで曲に
のせた、それもわずか4日間という限られた時間の中で作られたのがこれです。

正直この曲は、かなりマニアックな曲です。
‘Merry Christmas Mr. Lawrence(戦場のメリークリスマス)」や
Energy Flow(エナジー・フロー)」のような親しみやすい曲ではありません。
でもラヴェルのボレロのように、延々と繰り返される不思議なリズムの中から、
坂本さん自身が選んだ「戦争と平和」に対する強いメッセージが伝わって来ます。

その中からいくつかをご紹介しようと思ったのですが、メッセージの一つ一つが
坂本さんの音楽の一部であり、一部を省くということは、音符を省くのと同じこと
だと思い、少し長くなりますが、全部を紹介させていただきます。

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【 War and Peace / Ryuichi Sakamoto (Japanese Version) 】

自由の国の大統領は、戦争をするのも自由なの?

戦争で誰が得するの?
戦争は誰かのゲーム?

この海の先
同じ水の流れる先で 戦争は起きている

パパとママのけんかと戦争はどう違うの?

戦争って一体何を壊すのだろう?
街や 建物や 人生や 人の心や・・・

戦争は実感できても
実感できないのが平和なのかな?

戦争って誰も好きではないはずなのに
平和って誰もが望んでいるはずなのに

戦争は一人じゃできない
平和も一人じゃつくれない

戦うことも平和を願うことも
どちらも本能なの?

どうして私たちは
戦争を記憶するのに
平和は記憶しないの?

ぜいたくな望みなの?
戦いのない世界をのぞむのは

争いで得るものは何もなし
今世紀 何も語らず 兄は死んだ

戦いたいなら1対1でやれよ

アルバムの中
ピースサインで写る たくさんの僕がいる
あぁ もっと誠実に もっと切実に
ピースサインを刻んでおけばよかった
もっと誠実に もっと切実に
これからはピースサインを刻もう

戦争は自分達ではじめた事
止める勇気があればいいのに

今日と同じ明日でありますよう
もしそう願えないとしたら
そこには戦争の意味の小さな種がある
個人はまずそれと戦うべきだ

人はみないつか死んでしまうのに
なぜ途中で殺し合いをするの?

平和って 戦いがないっていうだけのこと?

木よ 教えてほしい
大地を元の姿に返し
世界をこれ以上汚さない方法を

命より重いものって・・・なに?

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まさに現在は日本国憲法第9条が改正されようとしていたり、
近くの某国の「ロケットマン」がミサイルを撃ち放とうとするなど、
世の中が危険な空気に晒されています。

そんな中でも、間違いなく言えることは
「戦争は絶対にしてはならない。二度と過ちを繰り返してはならない。」
ということであると思います。

しかし一方で、現在の憲法では自衛隊の存在自体に矛盾がないとはいえない。
でも大きな自然災害や有事のとき、頼りになるのはやはり自衛隊です。
その自衛隊を本当に解体しようというのなら、憲法改正に反対してもいいと思う。
ただ、反対する人は「改正のされ方」を信用していないのだと思う。
この大事な部分については、いくら多数決が議会制民主主義の原則とはいえ、
国会で強行採決などは絶対にしてほしくない。
(憲法改正は国会の2/3以上の賛成で発議され、国民投票で過半数の賛成が
無くては改正されません)
この国の未来のため、世界の平和のため、
できることなら国民すべてが納得できる改正をしてほしいと思う。

筑紫哲也さんが言っていた。

日本は「戦争をしてしまった国」である。
でも敗戦して「戦争をしない国」になった。
それを「戦争のできる国」に戻してはならない。
二度と「戦争をする国」になってはならないと。

まったく同感である。


13年前の筑紫哲也さんと坂本龍一さん  NEWS23にて

【おまけ】
3年前にドイツで開催された国際鍛造会議のプラントツアーで、私が訪問したトルコの
鍛造屋さんが、日本に来たということで、わざわざ当社にも立ち寄ってくださいました。
トルコは古くからヨーロッパとアジアをつなぐ交通と文化の要衝地として栄えてきました。
海を越えた鍛造屋同士のつながりに感謝し、大事にしていきたいと思います。


KANCA(カンジャ)社のDEMIRCIさんとMAKASさん


「 トルコと日本の友情  エルトゥールル号遭難事故の話 」

└誠一郎のコラム