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Miyajima News

2016年10月8日

王様と鷹と毒蛇の話

【H28年(2016年)10月のコラム(第190号)】



関西鍛造同友会という同業者の会で、広島のマツダさんの鍛造工場に
見学に行ってきました。翌日の土曜日はとてもお天気がよかったので、
みんなで「安芸の宮島」へお参りに行ってきました。
隣は浪速鉄工の堀川社長です。なんと同い年ですよ(笑)

1.王様と鷹と毒蛇の話

20年ほど前のこと、或る教会の牧師さんが書かれたという、小さな一冊の本を
社員さんからいただきました。そこにこんなお話が書かれていました。

昔ある国の王様が、一羽の鷹を大切に飼っていました。
その鷹は、王様と狩りに出ると、どんな鷹よりも俊敏な動きで獲物を捕えるので、
王様の一番の自慢でした。

いつものように王様が鷹と立派な獲物を仕留めて満足げに帰る時のことでした。
山の中を進みながら喉が渇いたなと思っていると、ちょうどそこに小さな滝がありました。
「これはありがたい。」
王様がコップを取り出し、そこに清水を注いで飲もうとした時のこと、
鷹が上空からまっしぐらに飛んできて、王のコップを弾き飛ばしてしまったのです。
「何をするのだ!」
と王は驚きながらも、鷹のいたずらだろうと思って再び水を汲み、
今度こそ飲もうとした時、またしても同じことが起こりました。
王はそれでも我慢してもう一度コップに水を注ぎ、飲もうとしました。
思ったとおり、またしても鷹はそのコップを弾き飛ばそうと急降下してきたのです。
「二度ならず三度まで!ワシをなめるのもいい加減にせい!」
と王は怒り、目にも止まらぬ速さで刀を抜き、鷹を切り捨ててしまったのです。

しかし地面に落ちて死んでいる鷹を見た瞬間、王は「ハッ」と気づいたのです。
「あの賢く忠実な鷹が、こんな馬鹿ないたずらをするだろうか」と・・・。

王は我を忘れる勢いで、滝の横の崖を必死によじ登りました。
そして滝の上に達した時、自分のしてしまったことの、とんでもない過ちに気づきました。
そこには大きな毒蛇の死骸が横たわっており、開いた口から毒のようなものが出て
水面に青光りしながら漂っていたのです。
そう、鷹はこの水を王に飲ませまいと、命懸けで王を守ったのでした。

「すまなかった、私の考えが浅かった。どうか許してくれ・・・・・。」
王がどんなに泣き叫んでも、鷹が生き返ることはありません。
王はその苦しみを生涯背負い、二度と鷹を飼うことはありませんでした。

というようなお話だったと思います。
これを読んだとき、私は本当に胸が詰まる思いでした。
しかし、この話と同じようなことが、はたして自分にもないでしょうか?
決して否定はできません。
自分に耳の痛いことを言ってくれる人がいる。
しかしその人は、好きこのんでそんなことを言っているのではない。
私のためを思って「わざわざ」言いにくいことを言ってくれているのだ。
自分が気づいていないことを、教えてくれているのだ。
そう考えると、耳の痛いことにも腹を立てず耳を傾け、素直にならねばならない、
そしてその人に感謝しなければならない・・・。
この「王様と鷹と毒蛇の話」を、なぜかふと思い出し、あらためてそう思いました。

 
みんなが「宮嶋in宮島やから、そこに立って!」というので写真を撮ってもらったのですが、
この写真を人に見せたら「おもしろなさすぎ!」と大不評でした↓↓↓


秋の七草のひとつ、桔梗の花
鮮やかな紫が綺麗です

└誠一郎のコラム