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Miyajima News

2015年9月3日

旅の目的 / 小椋佳さんに教えられたゲーテの言葉

【H27年(2015年)9月のコラム(第177号)】







1.旅の目的 / 小椋佳さんに教えられたゲーテの言葉



7年ぶりに小椋佳さんのコンサートに行ってきました。前回は地元彦根でしたが、

今回は大阪で、これが2回めです。小椋佳さんは今年で71歳になられたそうで、

ほぼ満席のお客様のほとんどは、僕よりも上の年齢層でした。



上の写真は、小椋佳さんが昨年9月に4日間にもわたって「生前葬」コンサートなる

ものを渋谷で開催された際のDVDのチラシですが、そのため今回のツアーは

「余生あるいは一周忌コンサート」という“変てこりん”な名前がつけられていました。



要は自分はいったん「死んだ身」だから、今回は「あの世」からやってきたのですよ

・・・みたいなビミョーなジョークです(~_~;)

だから下のチラシのように、真っ白な「あの世への旅立ち姿」でステージに登場された

のには驚きました。







ご存知のとおり小椋佳さんは大学卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に

入行され、50歳位までは銀行員をしながら音楽の道も歩んで来られた方です。

それを認めていた銀行もエライと思いますが、それだけ小椋佳さんの人柄や

能力が素晴らしかったのでしょう。



「シクラメンのかほり」や「愛燦燦」など、小椋さんの歌は詞も曲も心に沁みる

いい曲ばかりです。でも一番の魅力は、「声」ではないかと僕は思っています。



そんな小椋佳さんも今や71歳。

正直なところ、コンサートが始まって最初の曲でショックを受けました。7年前とは

声量や高音の伸びが全然ちがうのです。ご本人も数曲歌い終えたところで

「やはりトシなんでしょうか、すごく疲れてしまいました・・・」とぼそっと言われ、

「もしかしたら今日は途中でやめるんじゃないか」と心配したほどです。

しかしさすがそこはプロ中のプロ。後半は見事に盛り返して、大感動の内に

コンサートを終えられ、ホッとして帰ってきました。



今回のコンサートのテーマは「旅の歌」でした。



7年前に初めてコンサートに行った時にも、小椋佳さんは「旅」について、こんな

言葉を紹介してくださいました。



『 人が旅をするのは、到着するためではなく、旅をするためである 』



これはドイツの文豪ゲーテの言葉だそうですが、実に奥が深い言葉です。

ここでいう「到着」とは、まさしく「死」を意味しているのではないでしょうか。

そうすれば意味がよく解ります。

人生を旅に例えるなら、その到着地は「死」です。だから私たちは、死ぬために

生きているのではなく、そこに至るまでの旅を楽しむために生きているのだ。

楽しいこともあれば苦しいこともある。でも最後、それらを振り返った時に、

「ああ、辛いこともたくさんあったが、いい旅だった」と思える人生を送りたい。



そんなことをあらためて感じさせてくれた、今回のコンサートでした。

やっぱりコンサートはいいですね!





フェスティバルホール入口の階段

赤い絨毯が気分を盛り上げてくれます(*^_^*)



【ご参考】昔のコラムより



2010年8月のコラム 「旅」



2008年3月のコラム 「小椋佳さん」



昔のコラムを読み返すのもいいもので、なかなかいいこと書いてるなー(笑)

と思う一方、「ちょっとくどいかな?」と思ったりもします。最近思うのは、

「言いたいことのすべてを書くのではなく、できるだけ言葉は少なめにして、

それで言いたいことが読み手にちゃんと伝わるのがいい文章」ということ。

永遠の修業です・・・。

└誠一郎のコラム