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Miyajima News
2012年3月4日
エルピーダメモリの破綻に思う 2.日経新聞
【H24年(2012年)3月のコラム(第134号)】
日経新聞より
1.エルピーダメモリの破綻に思う
半導体メモリDRAMで日本最大、世界シェアでは第3位のエルピーダメモリが倒産した。
このニュースはショックだった。
なぜなら私は過去に一度、H19年9月に東広島の同社の工場を見学に行ったことがあり、
大変強く印象に残った会社だったからである。
私は今まで何百という会社、工場を見学させて頂いてきたが、印象の強さはその中でも
五指に入るかも知れない。
というのは、工場の設備や技術的なことではない。
社員の方々の、社長に対する尊敬の念の強さがすごかったのである。
工場見学の間、説明の方から何度も何度も「うちの坂本はすごい」という言葉が
出てくるのである。正直こんな会社は初めてであった。
「うちの坂本ほど素晴らしい社長はいない。私たちを信じ、権限も任せてくれる。
それでいて、何か相談事があると、メールさえ入れておけば世界中どこにいても、
ほとんど1、2時間の内には返事が返ってくる。社長はいつ寝ているのだろう?
坂本ほど働く社長を知らない。そんな社長を私たちは心から尊敬している。」
というようなことをおっしゃったのである。
変な宗教的なカリスマ性でなく、本当にそう思って社員の皆さんがイキイキ働いて
おられるのを目の当たりにし、僕は「坂本幸雄という人はどんな凄い人なんだろう?」
と思ったのを今もはっきりと覚えている。
しかし、そんな凄い社長さんがおられる会社でも潰れるのである。
半導体というのは「産業のコメ」」と言われるほど相場で価格が乱高下する。
DRAMの市場価格はパソコン需要の低迷でこの一年で1/3になった。
そこへ今回の超円高である。どんなに頑張ってもなんともならなかったのは
確かであろう。
しかしそれにしても倒産とは・・・本当に残念で仕方ない。
製紙会社の会長のようにギャンブルに狂っていたわけでも、胃カメラではトップの
光学機器メーカーや年金運用会社のように虚偽の経営をしていたわけでもない。
本当に一生懸命経営されていたのである。それでも企業というものは潰れる。
あらためてダーウィンの進化論の言葉を思い出す。
「強い者が生き残るのではない。賢い者が生き残るのでもない。
変化に対応した者だけが生き残るのである。」
この言葉の怖さを、今回ほど感じたことはない。
坂本社長の復活を心から祈るばかりである。
『 年々歳々、花あい似たり 歳々年々 人同じからず / 劉希夷 』
意味:花は月日が経てど毎年同じように咲くが、
人というものは年々年老いて変わっていってしまうものである
↓
花は時代が変わっても、毎年同じように美しく咲く。
しかし、人は時代とともに変わっていかなければ同じようには咲けない。
・・・こんな風に解釈している小生です。
2.日経新聞
1月の下旬に長野に出張に行った際、昔お世話になった方が諏訪におられるので、
帰りに寄ってその方と久しぶりにお酒をいただいた。
その時、話の中で「僕は日刊工業新聞は熟読してますが、日経は昔から読まない
主義なんです」と言ったらその方が急にムッとして「そんな変な主義はいかん!
経営者たるもの、日経新聞くらいは読むべきだ。リタイアして第一線から退いた
僕でも読んでるんだよ?宮嶋君の会社を伸ばしてもらうためにも敢えて言わせて
もらう。次に会った時にはちゃんと日経読んでるか訊くからな!」
とおっしゃったのである。滋賀に帰って早速購読を申し込んだのは言うまでもない。
ということで、毎日二紙に必死に目を通している僕ですが、こんな風にわざわざ苦言を
呈してくださる人がいるということは、本当にありがたいことだなあと思うのであります。