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Miyajima News

2001年11月6日

真の意味の「プラス思考」とは?・失業率5.3%に思うこと

【 平成13年11月のコラム 】
 すっかり秋らしくなりました。JRの各駅には各地紅葉名所のポスターやパンフレットが目立ちます。さあ今年はどこの紅葉を見に行くかな?と思っている間に初雪を迎える…なんてことの無いようにして下さいよ!別に大渋滞にわざわざ巻き込まれるために「名所」に行く必要はありません。案外身近なところに綺麗な紅葉があるものでは…。
街路樹の紅葉 街路樹の紅葉2
当社の近くにあるブリジストンの工場を通る街路樹の紅葉です。
毎朝通るのが楽しみですよ。
 因みに当地田舎の多賀町では、この秋は例年になく「カメムシ」が多く、地元農家の方のお話では「こういう年は雪が多い」そうです。秋を感じながら、冬の準備もお忘れなく!
 ということで、今月は次の二つのことについて、感じたことを書きます。
(1) 真の意味の「プラス思考」とは?
 去る10月30日、ある方の息子さんが、12歳の幼さで亡くなられました。私にも5年生の娘がいることもあり、いたたまれない気持ちで新幹線に乗り、その方のお宅へ伺いました。
ふと手にして持っていったのが、読みかけだった五木寛之氏のエッセー「大河の一滴」です。
「人はみな大河の一滴」という書出しで始まるこの本は、先日映画化されましたが、五木氏が、初めてストレートに自分の人生に対する思いを書かれたものだそうです。その本の最後のほうに、こんなことが書いてありました。「何年か前に『脳内革命』という本がベストセラーになった。人間がプラス思考をすると脳からβエンドルフィンというものが分泌され、脳だけでなく身体全体を活性化する。逆にマイナス思考をするとノルアドレナリンという有害物質が分泌され、身体全体に悪い影響を及ぼす。だから人間は常にプラス思考をしなければならないのだ。ということが科学的な裏付けのもとに書かれ、大ブームを生んだが、果たして本当にそうだろうか?」というのです。すなわち、人間そういつもかもプラス思考でいられるはずがないと五木氏は書いています。
たとえば神戸の小学生殺人事件を起こしてしまった少年の両親や、サリン事件で亡くなった被害者の方のご家族に、どう「プラス思考」をせよというのでしょうか?
人間の傷を癒す言葉には二つあり、ひとつは「励まし」であり、もうひとつは「慰め」だそうです。しかしこれらには必ずしも「言葉」が必要ではありません。時には黙ってその人の傍にいてあげるだけでいいのだという五木氏の文章に、私は考えさせられました。
「常に明るく前向きに」をモットーにしてきた私ですが、人間そういつもよい時ばかりではない。そんな時は無理して「がんばる」ことのほうが不自然なのかもしれません。
(2) 失業率5.3%に思うこと
 先日の政府の発表によると、10月の失業率は前月の5.0%から0.3%アップして、過去最悪の5.3%になったということです。私は「そりゃこの不景気、仕方ないわな!」位にしか感じていなかったのですが、弊社の課長が「専務、0.3%悪化ということは毎日7000人の失業者が増えてることになるんですよ」と教えてくれてビックリしました。計算間違いかと思って逆算しますと、7000人×30日=21万人、これを0.3%で割ると7000万人となり、総労働人口に大体該当しますので間違いないようです。
毎日7000人もの人が失業…これはただ事ではありません。そして更に失業率は悪化すると見られています。しかし、ここで私達は「なぜこうなったのか?」を真剣に考える必要があると思います。
その理由には二つあると思います。
ひとつには「(賃金あたりの生産性という意味で)日本人が国際的に働かなくなったこと」、もうひとつは「バランスを欠いた資本主義のしくみ」にあると思うのです。私は経済学については全くのシロウトですが、人間の究極の幸せは「社会主義」にあるとも思います。なぜなら、人並みにやっていれば、国が食べさせてくれるのですから。しかし人間、やはり「適度の競争」がなくては進歩がありません。だからこそ国連やサミット、G8などの国際会議である程度の「仕組み・枠組み」は決定し、その中で各国の国民が競い合うということが大事なのではないでしょうか?子供の小学校の運動会に行っても「子供に差別を与えるのはよくない」というおかしな考えで「順位をつけない徒競争」や、代表選抜でなく「クラス全員リレー」だけという今の教育では、本当に日本の将来は心配です。具体的な方策は私には分からなくて申し訳無いのですが「能力はずば抜けて優れていなくてもいいから、一所懸命努力した人が伸びる社会」を作り上げるしくみがこれからの日本に大切だと思うのです。
ではまた、来月。再見!

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